シンクロニシティと出会いと時と。

 先日友人と話していたら、彼女が私の掲載誌を切り抜いて『小樹藍オリジナル単行本』を作っている、とはにかみながら教えてくれました。一昨年、別友人宅を掃除していたら、私が商業デビュー時に作った同人チラシが、丁寧にファイルに挟まっていました。先週米寿を越えた祖母の部屋を整理していたら、薬棚に『別冊花とゆめ』とプリンセスのコミックスが埋もれていました。別花は少し、色褪せていました。

 こういう時、私は心の琴線をブルブル震わせながらも、成す術もなくただ立ちすくむばかり。計り知れない大きい物に守られていることを感じながらも、泣きながら漫画をかくだけ。

 去年の春、プリンセス編集部の小樹藍宛で『ハートのダイヤモンド』の男性読者から小包が届きました。吉井怜さんと同じ病気の方への想いの詰まった贈り物と『この病気をこのように表現してくれたことに感謝している」という短い手紙が同封されていました。私はどのように受け止めたらいいのかわからないまま、返事を出せずいました。でも、この方は返事など求めていなかったように思います。敢えて言うなら『神様に祈りを捧げる』というか。

 単行本発行から数年経ってこのような反響があったことに驚きながらも、漫画という物語は自分の手を離れた途端に遠くまで旅をするのだ、という当たり前の事実に久しぶりに感動しました。

 それは先日の関西ティアでも同じ。もう十年近く離れていたのに、設営準備中にわざわざ訪ねてくれてきた方とか、サークル同士で仲良くさせていただいていた方とまたお会いできたことは本当に嬉しかったです。

 ついこの間まで、作家として存在し続けること。小さくてもこの世界に留まり声を上げ続けることを意思表明としておりましたが。今は強く感じています。

 『もっと多くの人に自分の漫画を届けたい』。

 売れる、とも違う。稼ぐ、とも違う。そういうことはあくまで結果でしかない。今は純粋にもっと多くの人に読んでもらいたい、という気持ちがある。ひょっとしたらデビューして初めてきちんと、『読者』という人格を意識したのかもしれない。

 その努力がどこまでできるか、その戦いは私の闘い。

 その孤独な闘いの先に、匿名ではない『読者』という仲間がいてくれたら、どこまでも走れる気がする。や、走りたい、なぁ。 

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プロフィール

コキ

Author:コキ
こきあい りん(小樹藍りん)。漫画家。
1998年白泉社「別冊花とゆめ」にて商業誌デビュー。
その後「シルキー」、宙出版「いちばん怖くて綺麗な童話」「恋愛白書スタート!」秋田書店「ミステリーボニータ」「プリンセス」「恋愛よみきりmax」「プリンセスゴールド」「プチプリンセス」などでお仕事。

得意は不思議ショートと情熱恋愛もの。

現在は集英社クリエイティブ「オフィスユー」などでお仕事。

同人活動は主に『ひきこもり修道女日記』というどたばた神様コメディ読切シリーズを刊行中。

『ひきこもり修道女日記総集編上下』をCOMICZINで通販中。
各話ダウンロード販売をDLsite.comでおこなっております。

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